その番号に電話をかける・・・「間に合わないと思ったよ、今品川なんだけど、目黒に来て」 彼の妻が学会に行くのに「どうしても食べたいものがあって一緒に来たよ。」というのです。 2時間半も飛行機に乗って来て食べたいものとは・・・? しかも「予約してあるから」と「おいしぃ~寿司おごるから」としか言わない。 友達夫婦とは2ヶ月おきに会っていますが、再会はやっぱり嬉しい。 なんでもはしかで1ヶ月彼は入院をしていて2週間は40度から下がらず、「死ぬかと思った」そう。 しかし38度に下がると残りのダンボール1箱の本をネット注文して読み漁ったそうなんです。その中「失われていく鮨をもとめて」という本に出会うんですね。 冷蔵庫もなく、旬のものを一工夫して食べる江戸前手法。 元気になったら食べたいと思ったそうです。 しかし本には店の名前は匿名とされていて載っていない。そこからは彼の執念だったんですね~。探し当てたようなのです。 店は駅からかなり離れた住宅地にあり、探してたどりつきました。 運良くなかなかお目にかかれない材料探しの旅人「大将」もいらっしゃいます。 「ここは新鮮さをウリにする店ではありません。高級な大トロとかそんなものでも勝負していません。 鮨は生もの鮮度はこうしてる間にも落ちていきます。生臭くない魚は居ません。 うまく仕事をさせ、美味しい部分を引き出すのが私たちの仕事です。」とご挨拶から。 まず出てきたのはとどいたばかりの松葉蟹を蒸して肉を落とし、それで作った玉子焼き。 かかっているのもその玉子のソースです。 「こちらは全てにおいて砂糖を使ったりしませんので甘みはすべてその素材からでているものです。」との事。食べて私たちは歓喜の声を上げました。 次にサバの刺身。昔ながらの製法でつくる和がらしとたまねぎで頂きます。 青森に足を運んで今回仕入れたという数々の美味しいものが出てきます。 シジミを2升の酒のみで味をシメ、アルコールを飛ばしたら青森産林檎も入った茶碗蒸しは 抹茶が花咲くソースでつつまれ赤うにが乗っています。 そして今しか取れない平すずき。これも東京湾でとれるものはごくわずか。そのままでも甘みがありました。すずきの皮は別にポン酢で出てきますが絶品です。 子持ちの烏賊、北海道利尻島で取れた昆布をいっぱい食べてる毛蟹。 そしていい香りがする島人参。皮ごと甘みを引き出した人参の上にアンキモ。 赤酢とタンカン(みかん)とあわせたソースが美しい。オレンジの中に黄色のつぶと透明な星がきらめいてました。 こんなに幸せになった中、ここからお鮨です。 素材にいい仕事をさせるために、かなりの時間を費やすのが江戸前なんだそうですよ。 こちら1貫ずつ手指先に乗せてくださいます。まずは春を告げるというさよりの歯ごたえをから。 つぎに、こはだ4種。 1つ目の秘密は内緒ですが洋酒を使ったもの。でもいいお味です。これはサプライズ! 2つ目は赤酢としょうゆ。もううなってしまいました。 3つ目、白酢とゆず・・・3人で声を上げます。 4つ目、米酢・・・これもままかりのよう。 どれも甲乙つけがたく、脳裏にふか~く焼き付けられます!斬新、新鮮な感性です。 煮穴子が舌の上でとけてなくなり、しらうおもとろけて風味が残ります。 ぴんとしっぽの立った青柳が甘く美しく、赤貝がこりこり、づけの醤油に刺激され、間にかじき、がす海老には緑の卵がのっています。どれも絶品・・・・! 最後に大将のおやつをくださいました。たまごに乗せた白子・・・「!!!!」←こんな感想。 美味しくていくらでも入っていくお鮨です。しかも幸せを感じながらひとつひとつの食材に感謝しながらお別れ。 三人とも「最初からもう一回食べたい」と口をそろえました。 お酒もこだわっています。実際に足を運んで紙を貼らないようなお酒を分けていただいてくるのです。 杜氏の腕が世間でさわがれると酒蔵主はもっとユーザーに届けたいと言い出す。 絞り一つにしても布で搾り出すようになると、こだわりをもつ杜氏は出て行ってしまうんですよ。と、大将。 当然、杜氏が変わった酒蔵の酒は全然違うものになってしまうんです。ひとりとして同じものは作れないんですって。 だから足を運んでいい酒蔵を探してくるんだそうです。 ひっそりと頑なにこだわって作るお酒をひとつひとつ説明していただきながらいただきます。 1杯目、群馬イズミの無濾過うすにごり。 2杯目、静岡、志太泉 3杯目、新潟 越乃松露 4杯目、秋田 奥清水 5杯目、山形 亀の尾 上亀元 後はお話が盛り上がっておぼえていませんが 180センチの彼はあれよあれよと12種飲んでしまいました。すごい・・・! この店は本当に楽しめて美味しくって感性豊かです。 素材探しの旅に感動したお客さんが付いて回って本を書くほど。 そしてここは業界でも有名な店なんですが、気取らないその店には沢山のサイン。 楽しめて美味しくて幸せになれました。その年にいい魚が取れないなら出さない、 1日に10人以上のお客さんを入れないなどひとつひとつのお鮨からサービスにまで とことん拘りを感じました。またすぐにでも行きた~い! 名を轟かす有名店の方もこちらで育ったようです。 帰りに名刺をいただきましたが「くれぐれも人に教えないで」(笑)とおっしゃってました。 本当に秘密にしていたい店だと本気で思いましたね。私にとっても大事にしたい店になりました。 すみません、これってしっかり自慢話。コーフンして話したけど今気がつきました。 ホントにご興味ございましたら「こっそり」・・・?! でも本当は「本」をまず読んでからだと感動もひとしおです(友)との事ですよ。 肝心なことを話すのを忘れてました! 自慢したいのはこの店に連れて行ってくれた友達なのです! 沖縄ではこのお代が給料の3分の1平均な店に 「一緒に喜んでくれる人にごちそうしたかった。お金はまた頑張れば設けられるさ~」 といって妻子ともに使ってくれた友達の江戸っ子に似た粋なところなんです! 大いにじまんさせてくださいませ。
by noegon8p
| 2008-03-20 12:26
| 日々のつぶやき
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