すみません余りにかっこよかったので勝手に伐採させていただきました。白藤酒造のページ 輪島を訪れる旅を計画したきっかけ。ありこさんのお友達に輪島の蔵人カップルがいらして、 その蔵が震災で打撃を受け、今頑張って立ち上がっているとの話を聞いたからでした。 その白藤のページにある9代目の「人と人とを繋ぐ酒を創りたい」という言葉。 道が違っていても(とても、恥ずかしながら私も蕎麦には同じ気持ちです!)勝手に共感を受けてしまいました。 ありこさんのお話を伺い、食の感動と繋がるような直感が私を「わなわな」させました。 一年前は家が建っていたはずの土地。 直後の痛々しい姿から、現在は空っぽの更地へ。いっそう、むなしい気持ちになりました。 「こんにちわ。そば箸です」と通りに面した店先で声を上げます。 「まぁお待ちしておりましたよ、どうぞ見学から・・・」と先代の奥様がご案内してくださいました。 他所で蔵人もなさっていた9代目の若奥様と少しお話をして(う、美しい。)「では拝見して参りますっ!」 (杜氏は酒造に独りしかおりませんから、杜氏とは言わないのでしょうが同じようにお酒を造る現役なんです) 震災の後は建物が傾き、壁がなくなり、隣の家が見える状態になったそうです。 「タンクはその時どうなったのですか」伺うと 「それだけは助かりました。タンクだけは傾いたけれどどうにか倒れずに持っていたんです。 もちろん横に揺れて大分こぼれたりもしましたし、中に漆喰など入ってダメになったものは捨てざるを得ませんでしたけどね。」 大事に育ててよほど悲しかったでしょうね。 「でも、ありがたいことにね」・・・な・なんと残ったものは1ヶ月ほどで全て売り切れたんですって! 思い入れもある蔵。大事にしている昔のままの建物でどうにかならないかと頼み込んだそうです。 「でも、どうしようもないということで、半分の建物は立て替えるしかなかったですねぇ。やめるわけにもいきませんし。」 痛手を受けたのは建物だけではなかったはずです。その言葉に当時の目に見えない心労がこもっている。 しかし「すごいですよね、凄いきっとこれなら素晴らしい酒作れます」そんな工夫がいたるところに。 ただでは転ばない。ただ起き上がったのではない、思い切った新しい蔵には杜氏一家の希望が詰まってます。 断熱材で蔵はクーラーとも思えるほどひんやりしていました。ここは瓶火入れの瓶貯蔵。 「吟醸蔵や純米蔵」の上に仕込みのお部屋・麹室などがあり、すばらしい環境! 仕込みのお部屋から休憩部屋に続く細い廊下など嬉し楽しくてそば箸はしゃいじゃいました。 「大変恐縮ですが修復にはかなりかかるのでしょう?」との言葉にも誠実に答えてくださいました。 「時々これからの支払いに戸惑ったりしますよ。」落ち着いて笑顔で応える奥様の目には 震災から立ち上がり修復を決めた一家の強い決心が潜んでおりました。 私が「もう前に進むしかないですね!立派な若い2人にお任せするから、大丈夫です!」なんてとっさに言い放って 「あ!これは奥様の台詞ですねぇ。しかも若奥様ですら、初めてお会いしたんだった!」大爆笑でした。 大吟醸は山田錦をふんだんに使った酒。さわやかでまろみがありました。 造り手の優しさを感じるお酒です。もう1升は売り切れごめん。 純米酒は山田錦と5百万石で醸造されたもの。純米大吟醸は軽やかでさわやかな口当たり。 純米吟醸は口の中でふくらみを感じました。甘口なのに甘みを残さずすっきりとしている。不思議なんですよ。買い! 純米酒はこれまた旨みがたっぷりの甘口、なのにしつこさが全くない。 東京へ帰ってから・・・幻の銘酒を隠し持つ(笑)目黒・鮨屋さんの大将に話す。 「おお!白菊行ったのか?君は素晴らしいなぁ!」と誉められ、「なぜ白藤へ行き着いたのか」 事情聴取されながら(爆)白菊の話をする。 「白藤は昔ながらの製法を守る酒蔵で機械を使わない、小さな酒蔵だけどあそこは本物の酒造さんだよ!」 「良く通ったなぁ。「-」なのにさっぱりしたいい酒なんだよ、なぁ。」なんてまた盛り上がっちゃっいました。 若奥様もあるところの杜氏をしていたと伺っています。そしてお義母も仕込みのときは中に入るそうです。 仕込みの時には仮の姿(笑)を捨て、プロの顔になりお酒に取り組む杜氏一家の姿を想像。(かっこいい) 大事に大事に造られるお酒は言わずともかな・・・飲む人に伝わるものですね。 このお酒で大切な人の祭り事には杯を交わしたいと思わせる。 心が入った物には人と人を繋ぐ力があると私も信じています。 ものづくり、食の世界って派手になると薄れるものがある。地味な努力が感動を生みますね。 これからも、美味しい感動を造り続けて欲しいと願います。ありがとうございました。
by noegon8p
| 2008-09-13 11:00
| 料理練習帳
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